あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

No.11 火災盗難事故の発生件数ゼロを目指し、取り組みを進めていただきますようお願い申し上げます。

 明けまして、おめでとうございます。旧年中は、当協会活動に格別なるご支援を賜り、心より御礼申し上げます。本年も引き続きお力添えの程、よろしくお願いいたします。
 さて、米の需要は家庭用のほか、中食・外食産業など業務用需要の割合も増え、多様なニーズに合わせて安全・安心な米を安定的に供給することが産地に求められるようになってきています。JAグループにとってはそれに対応した集荷・販売体制を構築していくことが課題となっています。
 こうしたなかでカンリーエレベーター、ライスセンターなど大型乾燥調製貯蔵施設とともに農業倉庫の役割が一層重要になっています。JAグループが一体となって、施設の重要性に鑑み、毎年11月15日から翌年の1月31日までを「農業倉庫火災・盗難防止強化月間」として防火・防犯意識を高めることや、保管管理体制の再点検などを徹底するよう呼びかけています。

品質変化をもたらす3つの要因について
(参考文献:CEと防災 151号2022年11月)

 保管中に米麦の品質が変化するのは、米麦が「生きている」からです。収穫後の米麦は、次世代の種子としての生命力を持っています。ただ、収穫・乾燥後は休眠状態にあり、生理的にはかなり安定しています。したがって、保管中はこの状態を保って、なるべく生命力を弱めないようにすることが保管管理の基本です。
 しかし、実際には保管中の米麦は生命力を維持するために呼吸しており、わずかずつですが貯蔵養分(デンプン)を消耗し続けます。さらに保管中は米麦の成分が化学的に変化したり、カビや害虫・ネズミなどの被害を受けたりすることもあります。保管中に品質がよくなることはありません。「変化」とは「劣化」であり、外観や食味が悪くなるという意味です。

1.生理的要因

 保管中の米麦は生きた状態で保管されていますから、たえず呼吸しています。米麦の呼吸作用は、酵素の働きによって米麦の主成分である炭水化物(デンプン)が分解されて炭酸ガスや水に変化し、熱(呼吸熱)をだすことをいいます。
 米麦の呼吸量は倉庫内の温度が高くなり穀温が高くなるにつれて急激に増えます。穀温が15℃以下のときは呼吸が抑制されて休眠状態ですが、25℃以上になると呼吸量が著しく増加します。また米麦の水分が15%を超えると急激に活発になるので、庫内の湿度管理は十分注意してください。

2.化学的要因

 玄米は炭水化物(デンプン)74%、タンパク質7%、脂肪3%とおおよそこのような成分から成り立っています。また、このような米の成分を分解するリパーゼやアミラーゼなどの酵素を持っています。わずか3%ほどしか含まれていない脂肪の分解が最も早く、リパーゼという酵素によって分解され、脂肪酸がつくられます。脂肪酸は酸素に触れることによってさらに酸化され、カルボニル化合物へと変化します。古米臭の主な原因は、この脂肪酸とカルボニル化合物です。収穫直後の新米100g当たりの脂肪酸度は20mg以下ですが、古米化した玄米は30mgを超えます。カルボニル化合物の生成を抑制するには、酸素に触れさせないことが一番ですが、米保管では不可能なので、庫内湿度(玄米水分)を上げないこと、庫内温度を低くすることが有効です。

3.生物的要因

 生物的要因とは、カビ、細菌類などの微生物や害虫・ネズミによる変質や損傷をいい、3つの変質要因のなかで最も大きなダメージを受けますので、特に注意しなければいけません。

 以上のように、倉庫内の温度管理(穀温管理)、湿度管理(水分管理)、衛生管理は、米麦の品質管理を行なううえで最も重要な業務です。これらの管理状況を「保管管理日誌」に記録して品質劣化の兆しがないか確認し、適切な措置をとるまでが品質管理であることを、改めて確認していただきたいと思います。

【記:中地次男】


令和4年度
大規模乾燥調製施設設の管理運営にかかる役員・幹部職員
研修会の開催について

開催日時:令和5年2月14日(火) 13:30~17:00
開催場所:滋賀県農業教育情報センター1F 第二研修室

※出席者報告を1月20日(金)までに近江米振興協会へFax(077-523-5611)でお願いいたします。