春になると外気温が上昇しはじめ、その影響を受けて、特にサイロ内壁近くの20~30㎝程度の範囲や表層での穀温は大きく変化します。ところが、堆積中心部や下部の温度変化は少なく、このためサイロ内の壁近くで暖かくなった空気が上昇し、中心部で下降するという「サイロ内対流」が起こり、サイロ下段、ホッパー部の籾は水分吸湿傾向となり、更に外気温度が上昇し続けると、空気の対流が激しくなり一層顕著になってくることから、今後の保管管理には十分な注意と対策が必要です。
31年産麦の県内現地生育情報は、県農技センターの情報によると、3月中旬の草丈は平年に比べ長く、茎数は平年に比べ9割に減少してきています。
記
午前8時から10時頃の外気温との差が10℃を超えていないかをチェックし、超えていれば速やかにローテーションを実施して下さい。 「既にローテーションを行ったから」と安心していてはいけません。外気温度がまだ高かった秋に行ったローテーションでは、籾は完全に冷えていない可能性があり、再度「サイロ内籾の穀温チェック、および穀温と外気温度との差」の確認を行い、もし前日、前々日に比べて1℃も上昇していれば、即ローテーションの実施をお願いします。特に穀温管理は毎日定時に穀温測定を行い、サイロ保管管理日誌に記録し、 「グラフ化」して管理を行って下さい。
籾摺り前には、先ずサイロ内の結露確認を行って下さい。
酸素欠乏危険作業主任者の指示にもとづき、サイロ内に結露が発生していないか確認を行い、もしも結露が発生していた場合は、品質劣化籾と正常籾との混合を避けるための措置を行って下さい。(排出作業はロープ、バケツ方式等で)
4月以降に出庫予定の籾の管理は、出庫予定の籾を一旦別容器(別のサイロやDSビン又はタンク)に移し替え、外気の温湿度に馴染ませ、少なくとも5時間以上放置した後に籾摺りを開始して下さい。
外気温度とサイロ内籾の穀温との差が、3~4℃以内であれば結露の心配はないことになりますが、それ以上の差がある籾を出庫する場合は上記操作が必要です。
○ 気温について、2月上旬から3月上旬までは高く推移したが、3月中旬は平年並みであった。
日照時間は2月上・中旬はやや少なく、下旬は平年並み、3月上旬は多く、中旬は少なかった。
降水量は2・3月ともやや少なかったが、特に2月中旬はかなり少なかった。
○ 県農技センター麦類作況調査では、3月中旬における11月5日播きの「農林61号」、「ふくさやか」ともに茎数は平年の9割に減少しており、草丈は平年に比べ長く、葉齢は進んでいる。
○ 今作麦は、平年より生育がかなり前進しており、草丈は平年より長いものの、茎数は早い時期から減少し始めていることから、平年より少なくなっている。
○ 小麦および六条大麦では開花始め~開花期に、二条大麦では穂揃い10日後頃に防除を実施する。
防除後も降雨が続くなど多発が予想される場合は1週間後に追加防除を行う。
○ 溝に水がたまる場合は、溝さらえを行い、速やかに排水対策を講ずる。
○ 特に積雪の多かった地域では、融雪水の排水に努める。
○ 小麦の実肥は、開花期(出穂10日後)に窒素成分で3~4㎏/10aを施用する。
○ 3月中旬時点で生育は1~2週間進んでおり、向こう1カ月の気温も平年より高くなることが予想されることから出穂期は平年より早くなると見込まれる